【労災保険法】暫定任意適用事業の保険関係を消滅させるための要件

労働者災害補償保険法

今回は、労災保険の暫定任意適用事業における保険関係の消滅についての問題です。

「保険関係が成立してから1年経過すれば消滅できる」と単純に覚えてしまうと間違えやすい論点です。

特例による保険給付が行われることとなった場合には、さらに特別保険料の徴収期間にも注意しましょう。

この記事で分かること

  • 暫定任意適用事業の保険関係を消滅させるための要件
  • 「保険関係成立後1年」の意味
  • 特例による保険給付が行われる場合の追加要件
  • 社労士試験で間違えやすいポイント

問題

労災保険に加入する以前に労災保険暫定任意適用事業において発生した業務上の傷病に関して、当該事業が労災保険に加入した後に事業主の申請により特例として行う労災保険の保険給付が行われることとなった労働者を使用する事業である場合、当該保険関係が成立した後1年以上経過するまでの間は脱退が認められない。

答え

誤りです。

この設問では、

「保険関係が成立した後1年以上経過するまでの間は脱退が認められない」

としています。

しかし、特例による保険給付が行われることとなった労働者に係る事業では、保険関係の消滅について、保険関係成立後1年を経過していることだけでは足りません。

さらに、特別保険料の徴収期間を経過していることが必要です。

したがって、「1年以上経過すれば保険関係を消滅させることができる」とする設問は誤りです。

ポイント

暫定任意適用事業の労災保険に係る保険関係を消滅させる場合、原則として次の要件を確認します。

① 労働者の過半数の同意

当該事業に使用される労働者の過半数の同意が必要です。

② 保険関係成立後1年を経過していること

原則として、労災保険に係る保険関係が成立した後、1年を経過していることが必要です。

③ 特例による保険給付がある場合は、特別保険料の徴収期間を経過していること

特例による保険給付が行われることとなった労働者に係る事業では、さらに、特別保険料の徴収期間を経過していることが必要です。

ここが今回の問題のポイントです。

「特別保険料の徴収期間」とは?

特例による保険給付が行われた場合、事業主からは通常の労働保険料とは別に特別保険料が徴収されます。

その徴収期間は、保険給付の種類によって異なります。

例えば、療養補償給付・休業補償給付などに係る特別保険料は、原則としてその保険給付が行われる期間が徴収期間となります。

一方、障害補償年金・遺族補償年金などに係る特別保険料については、原則として13年とされています。

そのため、試験対策としては、

特例による保険給付 → 特別保険料 → 徴収期間の経過

というつながりを押さえておくとよいでしょう。

社労士試験で間違えやすいポイント

この論点では、

「保険関係成立後1年を経過すれば、いつでも保険関係を消滅させられる」

と覚えてしまわないことが重要です。

特例による保険給付が行われることとなった労働者に係る事業では、

  • 労働者の過半数の同意
  • 保険関係成立後1年の経過
  • 特別保険料の徴収期間の経過

を確認します。

今回の問題の覚え方

「1年だけでは足りない。特例給付なら特別保険料も確認」

これで今回のような出題に対応しやすくなります。

まとめ

今回の問題の誤りは、

「保険関係成立後1年経過すればよい」

としている点です。

暫定任意適用事業の労災保険に係る保険関係の消滅では、労働者の過半数の同意や、原則として保険関係成立後1年の経過が必要です。

さらに、特例による保険給付が行われることとなった労働者に係る事業では、特別保険料の徴収期間を経過していることも必要になります。

「1年経過」という数字だけで判断しないように注意しましょう。

参考・根拠

  • 厚生労働省「労働者災害補償保険法」
  • 厚生労働省「失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」
  • 厚生労働省「失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の施行に伴う労働省令の整備等に関する省令」