今回は、公立学校の教員が育児休業を取得した場合に、その代替として臨時的に任用された職員にどの災害補償制度が適用されるのかについての問題です。
「臨時的に任用された」「非常勤かもしれない」という言葉だけで、労災保険法の対象と判断しないことがポイントです。
この記事で分かること
- 公立小学校教諭の災害補償制度
- 育児休業に伴う臨時的任用職員の取扱い
- 「勤務の態様にかかわらず」という表現の意味
- 労災保険法と地方公務員の災害補償制度の区別
問題
育児休業を取得する公立小学校教諭の業務を処理するために、当該育児休業請求に係る期間を任期の限度として臨時的任用された者には、その勤務の態様にかかわらず、労災保険法が適用される。
答え
×(誤り)
この問題では、
「労災保険法が適用される」
としている点が誤りです。
公立小学校教諭の育児休業に伴って、その業務を処理するために臨時的に任用された職員については、労災保険法の適用対象として扱うのではなく、地方公務員に係る災害補償制度との関係で考える必要があります。
地方公務員災害補償法は、地方公務員等の公務上の災害・通勤による災害に対する補償について定めています。
育児休業に伴う臨時的任用とは?
地方公務員の育児休業等に関する法律では、育児休業の請求があった場合に、その職員の業務を配置換えなどによって処理することが困難であるとき、当該業務を処理するために任期を定めた採用や臨時的任用を行うことができるとされています。
この臨時的任用は、育児休業に係る期間を任期の限度として行われます。
つまり、この問題の人物は、
公立小学校教諭が育児休業
↓
その業務を処理する必要がある
↓
臨時的に職員を任用
というケースです。
なぜ「労災保険法」ではないのか?
労災保険は、原則として労働者を対象とする制度です。
一方、地方公務員については、地方公務員災害補償法などによる災害補償制度があります。
厚生労働省も、労災保険の適用について、地方公務員については一定の者が適用除外となることを示しています。
したがって、公立学校の職員については、
「公務員だから労災保険」
と単純に判断するのではなく、地方公務員の災害補償制度との関係を確認する必要があります。
「勤務の態様にかかわらず」がポイント
今回の問題では、
「その勤務の態様にかかわらず」
という表現が使われています。
ここは問題文の重要なポイントです。
「常勤か非常勤か」といった勤務の態様だけを見て労災保険法の適用を判断するのではなく、どのような身分で任用され、どの災害補償制度の対象となるのかを確認します。
この問題では、
公立小学校教諭の育児休業
↓
その業務を処理するための臨時的任用
↓
地方公務員に係る災害補償制度
という流れを押さえておきましょう。
「非常勤=労災保険」ではない
社労士試験では、
非常勤だから労災保険
と考えてしまうのは危険です。
地方公務員災害補償法には、非常勤の地方公務員等についての補償制度を定める第69条があります。
地方公共団体は、法律による公務上・通勤による災害の補償制度が定められていない「職員以外の地方公務員」について、条例で補償制度を定めなければならないとされています。
したがって、非常勤という言葉だけで労災保険法の適用と判断することはできません。
試験対策|この問題で覚えるポイント
今回の問題では、次の3点を押さえておきましょう。
① 公立小学校教諭は地方公務員
公立小学校の教諭は、地方公共団体に勤務する地方公務員です。
その災害補償については、労災保険法だけを見るのではなく、地方公務員災害補償制度を確認します。
② 育児休業に伴う臨時的任用がある
地方公務員の育児休業に伴い、その業務を処理するために臨時的任用を行うことが法律上認められています。
③ 「勤務の態様にかかわらず」に注意
常勤・非常勤といった言葉だけで判断せず、
誰が、どのような身分で任用され、どの災害補償制度の対象となるのか
を確認することが重要です。
この問題の覚え方
今回の問題は、
公立小学校教諭の育児休業 → 代替の臨時的任用 → 地方公務員の災害補償制度
という流れで覚えると整理しやすくなります。
そして、
「臨時的任用=労災保険」ではない
と押さえておきましょう。
まとめ
今回の問題は、
×(誤り)
です。
誤りのポイントは、
「労災保険法が適用される」
としていることです。
公立小学校教諭の育児休業に伴い、その業務を処理するために臨時的に任用された職員については、地方公務員に係る災害補償制度との関係で考えます。
地方公務員の育児休業等に関する法律では、育児休業に伴う業務を処理するための臨時的任用について規定されています。
また、地方公務員災害補償法には、地方公務員の公務上・通勤による災害に対する補償制度が定められています。
試験では、
「非常勤・臨時的任用だから労災保険」
と短絡的に判断しないことがポイントです。
参考・根拠
- 地方公務員の育児休業等に関する法律第6条
- 地方公務員災害補償法
- 地方公務員災害補償法第69条
- 厚生労働省「労災保険に関するQ&A」



