今回は、労働安全衛生法における危険性又は有害性等の調査(リスクアセスメント)の実施時期についての問題です。
「新しい作業方法に変更したら、1か月以内に調査する」と覚えてしまうと、この問題では間違えてしまいます。
ポイントは、「1か月以内」という期限が法律上定められているのかです。
この記事で分かること
- 危険性又は有害性等の調査を行うタイミング
- 「1か月以内」が誤りとなる理由
- 作業方法・作業手順を変更した場合の考え方
- 試験で狙われやすいポイント
問題
労働安全衛生法では、事業者は、作業方法又は作業手順を新規に採用し、又は変更したときは、1か月以内に建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等による、又は作業行動その他業務に起因する危険性又は有害性等を調査し、その結果に基づいて、労働安全衛生法又はこれに基づく命令の規定による措置を講ずるほか、労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置を講ずるように努めなければならないとされている。
答え
×(誤り)
誤りのポイントは、
「1か月以内に」
という部分です。
作業方法又は作業手順を新規に採用し、又は変更するときは、危険性又は有害性等の調査を行うことが求められています。
しかし、問題文のように、
「変更したときは、1か月以内に調査する」
という期限が定められているわけではありません。
危険性・有害性等の調査とは?
危険性又は有害性等の調査、いわゆるリスクアセスメントとは、職場に潜む危険性・有害性を調査し、その結果に基づいて必要な措置を検討するものです。
労働安全衛生法28条の2では、事業者に対して、建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等による危険性又は有害性等を調査し、その結果に基づいて必要な措置を講ずるよう努めることを求めています。
作業方法・作業手順を変更した場合
リスクアセスメントの実施時期の一つとして、
作業方法又は作業手順を新規に採用し、又は変更するとき
があります。
厚生労働省の資料でも、設備や作業方法を新規に採用・変更した場合などがリスクアセスメントの実施時期として示されています。
したがって、イメージとしては、
作業方法・作業手順を新規採用・変更する
↓
リスクアセスメントを実施
と押さえておくとよいでしょう。
「1か月以内」が誤り
今回の問題では、次のように書かれています。
作業方法又は作業手順を新規に採用・変更した
↓
1か月以内に調査する
しかし、正しくは、
作業方法又は作業手順を新規に採用・変更するとき
↓
リスクアセスメントを実施
という考え方です。
つまり、今回の誤りはリスクアセスメントを実施すること自体ではなく、「1か月以内」という期限を付けていることです。
試験対策|「1か月以内」に注意
社労士試験では、正しい文章の中に余計な数字を入れて誤りにする問題があります。
今回も、
「作業方法又は作業手順を新規に採用し、又は変更したとき」
という部分だけなら正しい内容です。
そこに、
「1か月以内に」
という期間が追加されています。
このように、法律上定められていない期間を勝手に追加している選択肢には注意しましょう。
化学物質のリスクアセスメントにも注意
なお、化学物質については、労働安全衛生規則34条の2の7により、リスクアセスメント対象物を原材料等として新規に採用・変更するときや、その対象物を製造・取り扱う業務の作業方法・手順を新規採用・変更するときなどにリスクアセスメントを行うことが定められています。
ここでも、「1か月以内」という期限ではなく、新規採用・変更などのタイミングがポイントになります。
この問題から覚えておきたいこと
今回の問題では、細かい期間を覚えるより、
「作業方法・作業手順を新規採用・変更するとき」
という実施時期をそのまま押さえておきましょう。
そして、
「1か月以内」
と出てきたら、本当にそのような期限が定められているのかを疑います。
まとめ
今回の問題は、
×(誤り)
です。
誤りのポイントは、
「1か月以内に」
という部分です。
リスクアセスメントは、作業方法又は作業手順を新規に採用し、又は変更するときなど、一定のタイミングで実施することが求められています。
したがって、
「新規採用・変更するとき」=実施時期
「1か月以内」=今回の問題では誤り
と覚えておきましょう。
参考・根拠
- 労働安全衛生法第28条の2
- 労働安全衛生規則第34条の2の7
- 厚生労働省「リスクアセスメントの導入・実施手順」
- 厚生労働省「化学物質対策に関するQ&A(リスクアセスメント関係)」



