【労働安全衛生法】店社安全衛生管理者を選任しなくてよいケース|建設業の人数要件

労働安全衛生法

今回は、建設業における店社安全衛生管理者と統括安全衛生責任者の選任要件についての問題です。

複数の会社が同じ建設現場で作業している場合、会社ごとの人数を整理することが重要になります。

特に、

20人以上50人未満 → 店社安全衛生管理者
50人以上 → 統括安全衛生責任者

という人数の区分を押さえておきましょう。

この記事で分かること

  • 店社安全衛生管理者の選任要件
  • 統括安全衛生責任者の選任要件
  • 複数の請負会社がいる場合の人数の数え方
  • 「20人以上50人未満」と「50人以上」の違い

問題

下記に示す事業者が一の場所において行う建設業の事業に関して。

なお、この場所では甲社の作業従事者及び下記乙①社から丙②社までの4社の作業従事者が作業を行っており、作業が同一の場所において行われることによって生じる労働災害を防止する必要がある。

甲社
鉄骨造のビル建設工事の仕事を行う元方事業者
当該場所において作業を行う作業従事者数:常時5人

乙①社
甲社から鉄骨組立工事一式を請け負っている事業者
当該場所において作業を行う作業従事者数:常時10人

乙②社
甲社から壁面工事一式を請け負っている事業者
当該場所において作業を行う作業従事者数:常時10人

丙①社
乙①社から鉄骨組立作業を請け負っている事業者
当該場所において作業を行う作業従事者数:常時14人

丙②社
乙②社から壁材取付作業を請け負っている事業者
当該場所において作業を行う作業従事者数:常時14人

甲社は、当該建設工事の請負契約を締結している事業場に、当該建設工事における安全衛生の技術的事項に関する管理を行わせるため、店社安全衛生管理者を選任しなければならない。

答え

×(誤り)

甲社は、このケースでは店社安全衛生管理者を選任する必要はありません。

理由は、甲社と関係請負人の作業従事者を合計すると53人となり、店社安全衛生管理者の対象となる「20人以上50人未満」ではなく、50人以上に該当するためです。

まず人数を合計する

今回の問題では、次のようになります。

事業者作業従事者数
甲社5人
乙①社10人
乙②社10人
丙①社14人
丙②社14人
合計53人

したがって、

5+10+10+14+14=53人

です。

この53人が今回の問題を解くための重要な数字になります。

甲社は特定元方事業者

甲社は、鉄骨造のビル建設工事を行う元方事業者です。

建設業の元方事業者で、関係請負人の労働者と同じ場所で作業を行う場合には、一定の人数要件を満たすと、統括安全衛生責任者などを選任する必要があります。

今回のような鉄骨造の建築物の建設工事では、常時50人以上の場合が統括安全衛生責任者の選任対象となります。

今回の合計は53人なので、この要件に該当します。

53人なら統括安全衛生責任者

甲社と関係請負人の作業従事者を合計すると、

53人

です。

つまり、

常時50人以上

に該当します。

したがって、甲社は統括安全衛生責任者を選任する必要があります。

さらに、統括安全衛生責任者を選任する場合には、元方安全衛生管理者との関係も押さえておきましょう。

統括安全衛生責任者は現場全体の安全衛生管理を統括し、元方安全衛生管理者を指揮します。

店社安全衛生管理者は「20人以上50人未満」

ここが今回の問題の中心です。

鉄骨造・鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物の建設工事について、店社安全衛生管理者の選任対象となるのは、

常時20人以上50人未満

です。

したがって、

人数鉄骨造等の建築物の建設工事
20人未満店社安全衛生管理者の対象外
20人以上50人未満店社安全衛生管理者
50人以上統括安全衛生責任者

というイメージで整理できます。

今回の人数は53人なので、店社安全衛生管理者の選任対象ではありません。

「50人以上」になったらどうなる?

今回のように50人以上になると、

店社安全衛生管理者を選任する

のではなく、

統括安全衛生責任者を選任する

という方向に切り替わります。

そのため、問題文の、

「甲社は店社安全衛生管理者を選任しなければならない」

という記述は誤りです。

ただし、工事の種類には注意

ここは試験対策として重要です。

「統括安全衛生責任者=50人以上」と丸暗記するのは危険です。

統括安全衛生責任者の選任基準は、工事の種類によって異なります。

例えば、ずい道等の建設工事、圧気工法による作業を行う仕事、一定の橋梁の建設工事では、30人以上が基準となります。

したがって、覚えるときは、

工事の種類 → 必要人数 → 選任する者

の順番で確認するのがおすすめです。

試験対策|人数だけで判断しない

今回の問題では、

鉄骨造の建築物の建設工事

という工事の種類と、

53人

という人数を組み合わせて判断します。

流れは、

鉄骨造の建築物
↓
作業従事者を合計
↓
53人
↓
50人以上
↓
統括安全衛生責任者
↓
店社安全衛生管理者の対象ではない

となります。

この問題から覚えておきたいこと

今回の問題で特に重要なのは、

「20人以上50人未満」と「50人以上」を混同しない

ことです。

鉄骨造・鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物の建設工事では、

  • 20人以上50人未満 → 店社安全衛生管理者
  • 50人以上 → 統括安全衛生責任者

という区分を押さえておきましょう。

また、複数の請負会社が存在する場合には、問題文に出てくる会社ごとの人数を合計して判断することがポイントです。

まとめ

今回の問題は、**×(誤り)**です。

甲社は元方事業者であり、甲社と関係請負人の作業従事者を合計すると、

5+10+10+14+14=53人

となります。

鉄骨造の建築物の建設工事では、常時50人以上の場合、統括安全衛生責任者の選任対象となります。

一方、店社安全衛生管理者の選任対象は20人以上50人未満です。

したがって、

53人 → 統括安全衛生責任者
店社安全衛生管理者は選任しない

と判断します。

ただし、統括安全衛生責任者の人数要件は工事の種類によって異なるため、「50人」という数字だけで丸暗記しないように注意しましょう。

参考・根拠

  • 厚生労働省「職場のあんぜんサイト:統括安全衛生責任者」
  • 厚生労働省「元方安全衛生管理者の資格」
  • 労働安全衛生法
  • 労働安全衛生法施行令・労働安全衛生規則