労災保険は、原則として労働者を対象とする制度です。
しかし、一定の中小事業主などについては、労働者に準じて保護することが適当と認められることから、労災保険への特別加入が認められています。
今回は、中小事業主等の特別加入に関する問題です。
特に重要なのが、業種によって特別加入の対象となる労働者数の上限が異なるという点です。
この記事で分かること
この記事では、労災保険の中小事業主等の特別加入について、次の内容を解説します。
- 中小事業主等が労災保険に特別加入するための基本的な要件
- 業種ごとの労働者数の上限
- 小売業の上限が「50人以下」であること
- 「50人・100人・300人」の人数区分
- 小売業と卸売業を間違えないためのポイント
- 社労士試験で注意したいひっかけポイント
問題
厚生労働省令で定める数以下の労働者を使用する事業の事業主で、労働保険徴収法第33条第3項の労働保険事務組合に同条第1項の労働保険事務の処理を委託するものである者(事業主が法人その他の団体であるときは、代表者)は労災保険に特別加入することができるが、労災保険法第33条第1号の厚生労働省令で定める数以下の労働者を使用する事業の事業主に関して、正しいもの。
小売業を主たる事業とする事業主については常時100人以下の労働者を使用する事業主
答え
×
小売業を主たる事業とする事業主について、労災保険の特別加入の対象となる労働者数は、常時50人以下です。
したがって、「常時100人以下」とする本肢は誤りです。
ポイント
中小事業主等の特別加入について、使用する労働者数の上限は業種によって異なります。
| 業種 | 労働者数 |
|---|---|
| 金融業・保険業・不動産業・小売業 | 50人以下 |
| 卸売業・サービス業 | 100人以下 |
| その他の事業 | 300人以下 |
厚生労働省の資料でも、この「50人・100人・300人」の区分が示されています。
社労士試験では、業種と人数を入れ替える問題に注意しましょう。
解説
中小事業主等の特別加入とは?
労災保険の特別加入制度は、労働者以外の人のうち、業務の実態や災害の発生状況などから、労働者に準じて保護することが適当と認められる人について、一定の要件のもとで労災保険への加入を認める制度です。
中小事業主については、業種と使用する労働者数によって対象となる規模が定められています。
① 50人以下
次の業種は、常時50人以下です。
- 金融業
- 保険業
- 不動産業
- 小売業
したがって、
小売業を主たる事業とする事業主は常時100人以下
という問題文は誤りです。
② 100人以下
次の業種は、常時100人以下です。
- 卸売業
- サービス業
ここが小売業とのひっかけポイントです。
小売業=50人
卸売業=100人
と区別して覚えましょう。
③ 300人以下
上記以外の事業については、常時300人以下です。
したがって、試験対策としては、
50人 → 金融・保険・不動産・小売
100人 → 卸売・サービス
300人 → その他
と整理すると覚えやすくなります。
特別加入には人数以外の要件もある
注意したいのは、労働者数が基準以下であれば、それだけで自動的に特別加入できるわけではないということです。
中小事業主等が特別加入するためには、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託することなど、所定の要件があります。
厚生労働省も、中小事業主等の特別加入について、対象となる事業主は一定の人数以下の労働者を使用する事業主で、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託するものとしています。
そのため、この問題では単に「小売業=50人」と覚えるだけでなく、
業種・労働者数・労働保険事務組合への委託
という組み合わせで理解しておきましょう。
試験で間違えやすいポイント
この問題で特に注意したいのは、小売業と卸売業の人数基準を入れ替えることです。
| 業種 | 上限 |
|---|---|
| 小売業 | 50人以下 |
| 卸売業 | 100人以下 |
| その他 | 300人以下 |
「小売業=100人」としてしまうと誤答になります。
覚え方
まず、
「小売は50、卸売は100」
をセットで覚えましょう。
そのうえで、
50 → 100 → 300
という3段階を押さえておくと整理しやすくなります。
この問題から覚えておきたいこと
労災保険の中小事業主等の特別加入については、次の数字をセットで覚えておきましょう。
50人:金融・保険・不動産・小売
100人:卸売・サービス
300人:その他
特に、
小売業=50人以下
卸売業=100人以下
は、試験で入れ替えられやすいポイントとして押さえておきましょう。
また、人数要件だけではなく、労働保険事務組合への事務処理の委託など、特別加入のための要件があることも確認しておきましょう。
まとめ
今回の問題の答えは**×**です。
小売業を主たる事業とする事業主について、労災保険の中小事業主等の特別加入の対象となる労働者数は、
常時50人以下
です。
人数区分は次のとおりです。
- 金融業・保険業・不動産業・小売業 → 50人以下
- 卸売業・サービス業 → 100人以下
- その他の事業 → 300人以下
社労士試験では、**「50・100・300」**を業種とセットで覚えておきましょう。
参考・根拠
- 労働者災害補償保険法第33条
- 労働者災害補償保険法施行規則第46条の16
- 厚生労働省「労災保険への特別加入」
- 厚生労働省「労働保険事務組合制度」



