脳・心臓疾患が業務上の疾病として認められるかどうかを判断する際には、労働時間だけでなく、さまざまな負荷要因が考慮されます。
今回は、その中でも「作業環境」について、長期間の過重業務と短期間の過重業務で評価方法が異なるというポイントを確認します。
この記事で分かること
- 脳・心臓疾患の認定基準における「作業環境」
- 長期間の過重業務と短期間の過重業務での違い
- 温度環境・騒音の評価
- 社労士試験で狙われやすい「付加的に評価」という表現
問題
認定基準において、業務の過重性の具体的な評価を行うに当たって検討すべきとされている負荷要因の1つである作業環境(温度環境、騒音)は、長期間の過重業務の判断に当たっては付加的に評価するのに対し、短期間の過重業務の判断に当たっては付加的に考慮するのではなく、他の負荷要因と同様に十分検討することとされている。
答え
○(正しい)
この問題のポイントは、次の違いです。
| 過重業務 | 作業環境の評価 |
|---|---|
| 長期間の過重業務 | 付加的に評価 |
| 短期間の過重業務 | 他の負荷要因と同様に十分検討 |
ここを正確に覚えておきましょう。
作業環境とは?
脳・心臓疾患の認定基準では、労働時間以外の負荷要因の一つとして「作業環境」が挙げられています。
具体的には、
- 温度環境
- 騒音
について評価します。厚生労働省の認定基準でも、これらを作業環境の負荷要因として整理しています。
温度環境
温度環境については、例えば、
- 寒冷・暑熱の程度
- 防寒・防暑衣類の着用状況
- 採暖・冷却の状況
- 寒冷と暑熱との交互のばく露
- 激しい温度差がある場所への出入り
- 水分補給の状況
などを踏まえて負荷の程度を評価します。
騒音
騒音については、おおむね80dBを超える騒音について、その程度やばく露時間・期間、防音保護具の着用状況などを踏まえて評価します。
長期間の過重業務では「付加的に評価」
ここが試験で重要なポイントです。
長期間の過重業務の判断では、作業環境は、
付加的に評価する
とされています。
つまり、作業環境だけを中心に評価するのではなく、労働時間などの他の負荷要因と合わせて、業務による負荷を総合的に判断します。
認定基準では、長期間の過重業務について、労働時間以外の負荷要因も含めて業務と発症との関連性を評価する仕組みになっています。
短期間の過重業務では「十分に検討」
一方、短期間の過重業務では扱いが異なります。
短期間の過重業務の判断では、作業環境について、
他の負荷要因と同じく十分に検討する
とされています。
つまり、
「作業環境だから付加的に扱う」
とは考えません。
労働時間などの他の負荷要因と同様に、その業務がどの程度過重だったのかを検討します。
なぜ「長期間」と「短期間」で違う?
脳・心臓疾患の労災認定では、
- 長期間にわたる疲労の蓄積
- 発症に近接した時期の急性の負荷
という異なる側面から業務の過重性を評価します。厚生労働省の専門検討会でも、この基本的な考え方は妥当とされています。
そのため、同じ「作業環境」という負荷要因でも、どの期間の過重業務を判断するのかによって評価の仕方が異なることになります。
ここは数字ではなく、言葉の違いを問われやすいポイントです。
試験で注意したいひっかけ
この問題では、
長期間 → 付加的に評価
短期間 → 他の負荷要因と同様に十分検討
という組み合わせが正しいです。
例えば、
「長期間の過重業務では、作業環境を他の負荷要因と同様に十分検討する」
とされていたら誤りです。
また、
「短期間の過重業務では、作業環境を付加的に評価する」
という記述も誤りです。
「長期」と「短期」を入れ替えないことが重要です。
この問題から覚えておきたいこと
社労士試験では、細かい表現の違いが正誤を分けることがあります。
この問題では、次の形で覚えておくと整理しやすいです。
長期間
作業環境 → 付加的に評価
短期間
作業環境 → 他の負荷要因と同様に十分検討
そして、作業環境の具体例として、
温度環境・騒音
をセットで覚えておきましょう。
まとめ
脳・心臓疾患の労災認定基準では、作業環境も業務の過重性を判断する際の負荷要因の一つとして考慮されます。
ただし、その評価方法には違いがあります。
- 長期間の過重業務 → 付加的に評価
- 短期間の過重業務 → 他の負荷要因と同様に十分検討
作業環境には、温度環境と騒音があります。
本問は、この「長期間」と「短期間」の違いを正しく理解しているかを問う問題です。
暗記ポイント
長期=付加的
短期=十分検討
この2つを逆にしないようにしましょう。
参考・根拠
- 厚生労働省「脳・心臓疾患の労災認定基準」
- 厚生労働省「血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準に係る運用上の留意点について」
- 厚生労働省「脳・心臓疾患の労災補償について」



